「いつも探している本」がなくなっていた

仙台に来ている。二泊は決めてて、もう一泊延ばしてもいいし、その後は別の場所に足を延ばしてもいい、その時になったら決めようという気楽な来仙だ。

食事なんかは、折角来たのに全国チェーンに入ってもな……という感じなのでできれば地元の店に入りたい(といいつつつぼ八を見掛けてぐらっと来た)、という心持ちでアーケードをぶらぶらしていたらやっぱりチェーンが多いのだけどその中にブックオフがあった。ブックオフに入ることはまあないわけだけど、でもブックオフは他の全国チェーンの飲食店とはちょっと事情が違うぞと思った。

昔は、ずっと欲しい本という物があった。本屋で見かけたら、ずっとこれが欲しかったんだ、とにっこりしてしまうような本だ。そういう物は大体絶版なので(でなければ書店経由で取り寄せればいい1)古本屋を探すことになる。それにしても何が何でも欲しいという本ばかりではないから、古本屋に行ったついで、どこかに行ってふと古本屋が目に入ったついで、といった時に中に入って探すことをしていた。旅行の時などは最適なタイミング。

今では殆どが、特に大事な本ほど、電子で購入してしまうのでこうしたことはそもそもないけれど、でも電子化されていない本という物はある。だから僕にとって古本屋は、まだ価値があるのだ、ブックオフも。

しかしブックオフに入らなかった。よく言われていそうな、電子で買うという体験が当たり前になったからなのか、もっと広く欲しい物は欲しくなったタイミングですぐに手に入るような時代になったからなのか。なんにせよ、もうああして僅かな期待交じりの大きな諦めを胸に抱き、がっかりし過ぎないよう防衛して古本屋巡りをするということはないのだろうな。

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当時はウェブ購入は一般的ではなかったし無理だった気がする。